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『歯車に拠る世界再生計画』

 『歯車に拠る世界再生計画』


今から2世紀後の未来。世界は滅んだ。終わった筈の戦争が歪みを生み、とある一国を暴走させたことが原因だった。
僅かに残った人々は、その殆どが世界の惨状に発狂して死んだ。
その中で、唯一死を願わなかった少女と少年は、世界が滅びた理由を自分達が持つ「心」、そしてそれが積み重ねてきた歴史のせいだと考えた。憎しみの歴史が、全てを滅ぼしたと結論づけたのである。

荒廃した世界を眺めた二人は、考えあぐねた末に一つの決定を下した。
歴史を積み重ねないように、行くあてのない憎しみを抱かないように。
心を捨て、世界を再生させよう。もう二度と同じ過ちを繰り返さない為に。
それが過ちであると、幼い二人は気付けなかった。

そしてその更に未来。
ようやく、世界の文明レベルが旧21世紀まで取り戻された頃。


――人々は歯車だった。
世界は、歯車に拠って動いている。自分の過去を取り戻し、未来に繋げる為に。


旧21世紀を模した世界。歯車達は依然として働き続ける。
娯楽も取り戻されていたが、形骸化していた。それを楽しむ心がないのだから当然だ。
心が失われたことで、彼らからは個性も失われた。
唯一残った個性と呼べる概念は、『他者よりどれだけ世界の役に立てるのか』――それだけだ。

人々は疑わない。心をなくしたことが間違いだという事を。歴史がない世界は張りぼて同然だ。見た目だけ取り戻したところで、何の意味もない。

……いや、極稀に心を持つ歯車も居た。その存在意義と働く理由について、考え出す者が居た。だけど、彼らはすぐに『矯正』された。
世界が元通りになるまでは、心など要らないから。
せっかくここまで取り戻したのだ。また壊されては堪ったものじゃない。
それもまた、形骸化した概念である。だって、そう考える事すら、彼らは出来ないのだから。

そんな世界の中。

A-028と呼称される少女が居た。彼女は純粋培養の歯車であり、自分の存在意義を疑ったことなど一度もない。

彼女と共に働く仲間が居た。Y-223と呼ばれた彼は、矯正を経験した数少ない存在だった。矯正の後遺症でぼんやりする思考の中で、彼はいつも思っている。自分達の存在は間違いなのだと。これで救われる筈がないのだと。心を知ってしまった彼は、しかしその闇しか知らなかった。
彼は本能的な自殺志願者だった。だが、それを少女以外に話す事はない。

少女の夢の中にはいつも少年が居た。扉越しに話しかけてくるだけの存在。彼はいつも不思議そうだった。少女に心がないことを憐れんでいる節もある。彼はいつも、少女に『心』の抱く光を説いた。自分が自分であることの幸福を、生きることの素晴らしさを説いた。だけど彼は、少女が目覚める直前に何故かいつも謝った。

現実と夢。二つの世界で、全く別のことを言う二人。
少女は思う。どちらの言っていることが正しいのだろうと。少女は悩む。幸福とはなんだろうと。

少女には、解らない。
世界は、未だ滅んだままだ。


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クラスで書いた劇のネタ出し。難しすぎてボツ。いつか短編にリメイクしたいです。
佐々木 | 小ネタ | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

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